【ハームリダクションとは】ホントに大麻の使用者に必要なのか?
事実、大麻の依存者はほとんど「いない」。
2021年初頭から突然はじまった、日本における大麻の「使用罪」創設に向けた議論。
逆に国際的には、薬物の使用を最小限に押さえ、健康や社会的ダメージを低減させる「ハームリダクション」への政策転換が広がっています。
この記事では、ハームリダクションとは何か、そして大麻の使用者にも必要な政策なのかを解説します。
読み終えていただくと、以下について理解が深まります。
- ハームリダクションとは
- 処罰ではなく、支援をする海外の政策
- 世界と逆行する日本の薬物対策
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ハームリダクションとは
今、薬物対策やアルコール依存問題への新たなアプローチとして、ハームリダクションという手法が注目されています。
ハームリダクションとは、直訳すると「被害を減少させること」です。
薬物問題を単なる個人の犯罪ではなく、健康の問題、そして社会全体の問題として捉え「健康被害や社会生活における悪影響を、少しずつ軽減していくための解決策を探る政策」を指します。
そのために以下を、目的をしたプログラムになっています。
- 薬物使用を単純に禁止し、その使用者を厳罰に処するという従来のやり方を変え、違法・合法を問わないこと
- 精神に作用する薬物について、使用により生じる健康・社会・経済上の「ダメージ」を減少させること
違法薬物だけではなくタバコやアルコールなど、依存性の高いものも含みます。
いわば「やめさせない依存症の治療」であり「薬物依存への寛容策」です。
前述の「ダメージ」とは、以下のようなことが挙げられます。
- 注射器の使い回しによる病気の感染
- 社会的地位の剥奪による経済的困窮
- 対策における税金の投入
- 過剰使用による死亡
近年では、芸能人の違法薬物の使用による逮捕が相次ぎました。
彼らの報道後の社会的な名声の低下と、それに起因する再犯などが、分かりやすい例でしょう。
国連でも、薬物問題を持続可能な開発目標「SDGs」として考えており、その目標達成のためにハームリダクションへの転換を各国へ呼びかけています。
薬物依存は、アルコール依存と何が違うのか?
「ハームリダクション」は日本ではあまり取り入れられにくい手法ですが、最新の研究結果から、世界中で徐々に受け入れられている療法です。
ポルトガル、スペインといった国もこの考え方が受け入れられて、すでに成功しています。
名門コロンビア大学で、神経科学を研究するカールハート博士(Dr. Carl Hart)という方がいらっしゃいます。
彼はアフリカ系アメリカ人としてはじめて、終身在職権を得た人物です。
この博士によると、「アルコール中毒の問題の根幹がお酒ではない」のと同様、違法薬物についても以下のように主張しています。
ドラッグそのものが問題という訳ではなく、根深い誤解が存在している。
ハードドラッグであるヘロインやコカインだけでなく、覚醒剤、マリファナ(大麻)の使用者も8割~9割は中毒にはならず、アルコール中毒患者の割合とそれほど大きな違いはないとのこと。
実際に薬物を常用していたアメリカの著名な政治家や、過去に非合法ドラッグの経験がある直近の大統領も、職務の遂行には何の問題もなかったことが、これを示しています。
(オバマ大統領のマリファナ使用や、ブッシュ(ジュニア)のコカイン使用などは比較的オープンに話し合われています。ジョーローガンとのポッドキャストのリンクは、次の章にあります。)
日本においても、全ての案件が当てはまるとは限りませんが、逮捕された著名人について「仕事ぶりには何の問題もなかった」という声が多いのも、何よりの証拠でしょう。
またアルコールへの依存によって社会的な生活ができず、困っている人がいる一方で、アルコールを飲む全ての人が依存症になっているわけではないことも、一考すべき事実です。
「処罰ではなく、支援を」海外の実態
そもそも「依存症」になってしまう過程には、さまざまな原因が介在しています。
そして個々の案件について本来は、1件ずつ丁寧に調査・観察していく必要があるのです。
つまり薬物依存は、以下のような「幅広い社会的な問題を構成する1つの要素に過ぎない」ということです。
- 貧困層の拡大
- 薬物政策
- 失業率など
これらの薬物乱用の科学的な事実は、実は数十年前から明らかでした。
しかし、薬物政策を担う人々は「アルコール依存症は社会問題だが、薬物依存は薬物そのものに原因がある」という姿勢を最近まで取っており、人々も、同様の誤解と偏見を持ってきました。
ここにきてカールハート博士の主張が徐々に受け入れられ、先進国の新しい薬物対策の方向性として、ハームリダクション、すなわち「ドラッグの非犯罪化」の流れとなっているのです。
博士が21年1月にザ・ジョーローガン・エキスペリエンスに出演したトーク(英語)になります。
https://open.spotify.com/episode/4xMbq7gLEjFioOQ5gpSw2l?si=T16iMM6GR5-nFJGpo5UH-A
現在は世界20カ国で、違法薬物の個人使用を目的とした所持について罰則が撤廃されており、大麻に至っては実に、50の国々で非犯罪化されています。
アメリカでもバイデン大統領の就任によって、現在「連邦として」違法としている大麻について、数年内に非犯罪化される見通しです。
逆行する日本の薬物対策
一方の日本では、2021年に入って厚生労働省が、大麻などの取り締まりを強化することを検討する有識者会議を立ち上げました。
現在は所持については禁止され、使用罪は問われない大麻について、新たに「使用罪」の創設に向けて議論がスタート。
今年の夏にも報告書がまとまる予定です。
この国内の動きは「厳罰より支援を」という、世界的な潮流とは逆行しています。
しかし今までの、「ダメ、ゼッタイ」的な反薬物キャンペーンや重罰化のままでは、問題を解決するどころかかえって悪化させ、依存で困っている人々を社会から排除してしまいます。
また、日本のメディアは、薬物犯に対して「意志が弱く、人間的にダメで非道徳な人物」と一方的にレッテルを貼り、センセーショナルに報道を展開します。
そして報道によって扇動された情弱な国民は、感情的に「厳罰に処すべきだ」という声を挙げ、その「民意」に政策が応えてしまいます。
報道と政策によって薬物依存者は社会的に孤立していき、ますます事態は悪化していくことでしょう。
これが、カールハート博士のいう「根深い誤解」であり、早急に認識を改めるべきところだと感じます。
さらに薬物の対策には、多額の税金がかかります。
そして厳罰化は、以下のような非常に多くのデメリットをはらんでいます。
- 社会的に排除されて経済的に困窮する人が増え、福祉負担が増大
- 地下で流通する薬物の取り締まり強化で、公的資金を投入
- 注射器の回し打ちで、感染症が拡大し医療の公的負担が増加
少子高齢化社会が迫る日本にとって、社会的なダメージは非常に大きいでしょう。
大麻使用者にハームリダクションは必要か?
ハームリダクションの目指すところは、以下のとおりです。
「人間を排除するのではなく、薬物使用による依存症を抑える。」
大麻を常用するという危険性は、実はエビデンス(科学的根拠)がそろっていません。
また大麻が病気に対してどの様な影響があったのか、という報告もやっとここ最近出てきていますが、その数はまだまだ少ないです。
確かに、薬物の動物実験によって「有害だ」と結論づける報告は、数多くあります。
しかしそれは、アルコールやニコチン、カフェインでも同様です。
今までは、物質としての危険性だけを強調し「毒性と依存性あり」と規制してきたのです。
そして国内の薬物専門家によると、大麻使用の患者を見る限り、他の依存症と比較して精神医学的な問題が少ないのです。
その上仕事も問題なく遂行できているなど、社会的な生活を送っている方が多く、そもそも依存症としての該当者が少ないのです。
また、アルコール依存症や合法薬物の乱用者と比べても、大麻の常用者は社会的な適応度や、健康度も高いとも語っています。
ただしこれもざっくりとした情報であって、エビデンスとしてのデータではない点については、考慮すべきでしょう。
1つの懸念材料
一方で国内外の事例や、さまざまな研究結果を見る限り「10代から頻繁に使っていると良くない」ことは分かっています。
ですので海外の合法国でも、一定の年齢制限が存在します。
また「高濃度のTHCを含有した薬物を未成年から長期に渡って使うと、依存症になってしまうリスクが高まる」のも、間違いなく事実です。
上記の2点を除けば、果たして本当に大麻の使用者にもハームリダクションは必要なのか、非常に懐疑的なところではあります。
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まとめ
海外で広がる「ハームリダクション」と、大麻使用者に必要な政策かという視点から解説しました。
タバコやアルコールに依存してしまい、社会的な生活に支障をきたして困っている方々がたくさんおり、このハームリダクションを必要としています。
しかしながら、大麻の使用者については、国内で薬物治療の現場にいる専門家すら、依存症と診断される該当者が少ないと見ているのです。
上記の事実から、大麻の依存性は「軽い」という事実を証明しているとも取れます。
まずは薬物も含めた依存症は、「物質的な問題ではなく社会的な問題なのだという視点を国民が持ち、慎重に議論していくことが何より大切」だと考えます。
今回は以上となります。
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Written by 212