by レイジーグーフィー

【北海道】農作物としての大麻の可能性は?日本経済再建をめざす

大麻

北海道の行政が寄せる「高い期待」

こんにちは。

北海道には、野生の大麻草がたくさん生えており、道内の自治体はその駆除に追われています。

しかし野生の大麻の約8割は北海道にあり、完全に駆除することは困難とも言われています。

実は北海道の行政では近年、産業としての大麻の可能性を、様々な角度から探っています。

この記事では、以下について解説していきます。

  • 北海道における大麻の歴史
  • 北海道行政の姿勢
  • 大麻の可能性

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大麻の合法成分「CBD」について。

北海道における大麻産業の歴史

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Illustration by Ivan Haidutski from Icons8

北海道では、明治の開拓史時代、開拓農家の収入源として大麻がたいへん注目されていました。

明治20年には、当時の北海道庁が生産奨励に乗り出して北海道製麻会社を設立、作付面積も増加していたのです。

  • そもそも我が国では、古来より衣服や漁の網、神社のしめ縄などに大麻が使われており、種子も七味唐辛子や鳥の餌に利用するなど、生活に溶け込んだ身近な存在でした。日本の在来種はTHCが1%以下と低く、嗜好用としての認識はなかったのです。
  • そして日清戦争日露戦争による軍需の急増で、製麻産業は拡大の一途をたどり、最盛期には、道内で1,500haを超える作付けがなされていました。しかし太平洋戦争の終戦で軍需は急速に減少したため、並行して大麻の生産も減っていきました。
  • 追い打ちをかけるように昭和23年の大麻取締法の制定、そして化学繊維の台頭によって、製麻産業は衰退していきました。

現在も大麻の生産は細々と続いてはいるものの、平成23年のデータでは作付面積の8割は栃木県であり、道内の栽培者として免許が交付されている方は「1人のみ、面積も7a」となっています。

大麻の産業化を目指す行政

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Illustration by Natasha Remarchuk from Icons8

北海道

産業用大麻の有用性に着目した北海道の農政部では、平成25年に「北海道産業用大麻可能性検討会」を立ち上げ、道内における大麻の栽培について情報交換と議論を行いました。

議論の結果は「北海道における産業用大麻の作物としての可能性報告書」に取りまとめられており、北海道庁のサイトで確認できます。

また、平成27年の北海道知事の公約の一つとして、「産業用ヘンプの栽培に向けた取り組みを進めます」と掲げられており、道議会でも活発に質問や答弁がなされています。

地元の新聞でも紙面を大きく割き、議論の詳細を取り上げました。

さらに平成28年には、「基本的な考え方と栽培に向けた取組の方向性(工程表)」も取りまとめられました。

栃木県

栃木県の品種「とちぎしろ」の生育や採種試験、道内に適した栽培法の確立といった「栽培技術」や、野生大麻の調査に向けた体制の整備や輸入品種の情報収集などの「品種の選定」を実施。

さらに海外の活用を収集してその収益性を分析する「活用方策」、市町村における調査や研究といった「地域の取組」をそれぞれ知見として蓄え、平成30年からは、知見に基づく栽培の可能性について検証を行っています。

大麻の活用が一大産業に

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Illustration by Icons 8 from Icons8

平成14年、北見市では産学官連携組織「産業クラスター研究会オホーツク」内に、産業用大麻について検討する「麻プロジェクト」を立ち上げており、大麻の活用事例について、次のように挙げています。

  • まず、麻幹を熱圧縮した「建材の原料」としての利用。非常に強度があり、湿気を吸収・放出するので、内装材として高い活用ができます。断熱材としても利用可能で、グラスウールに比べ扱いやすく、解体後は土に還り環境負荷が低いのが利点です。
  • また、自動車メーカー、メルセデス・ベンツでは、繊維を自動車の「吸音断熱材」として採用しています。ポルシェやルノーでも、ドアパネルやダッシュボードにプラスチックの代替品として組み込まれており、ヨーロッパを中心に環境に優しい素材として工業製品にも広く利用されています。
  • 紙の起源と言われる麻100%の「麻紙」は、麻繊維を原料として生産され、耐久性が高い上に墨の入り方が良く、熊野三山の神社札や朱印帳などに使われています。
  • 医療分野でも、大麻の成分の一つ「CBD」は、その医療効果が広く認められています。
  • さらに「バイオエタノールの原料」として、期待も寄せられています。大麻の茎を発酵した上で濾過することで、ガソリンに替わる燃料となるのです。国内産の大麻で作ったバイオ燃料を普及させれば、ガソリンの輸入を減らすことができ、中東への依存度を下げることが可能となります。

先述の「北海道における産業用大麻の作物としての可能性報告書」においても、委員より「これほど多様な用途に使える植物は他に例がないのではないか」という声まで出ています。

農作物としての大麻の可能性

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Illustration by Marina Fedoseenko from Icons8

様々な用途があるのは分かりましたが、なぜ北海道において、大麻草にこれだけの期待を寄せているのでしょうか。

大麻草は、雑草のように繁殖力が非常に高い一年草です

大麻の産業が廃れて久しい北海道でも、未だに野生化した大麻草があちらこちらに生えており、行政はその駆除に追われています。

自然が手つかずの状態で残されている地域では、多くの大麻が自生しています。

道民にとって大麻草は、「その辺に生えている雑草となんら変わらない身近な存在」であります。

この事実から、他の農産物と違って繊細な技術も不要で、容易に資源が手に入ることが分かります。

また、大麻草は成長する際に大量の二酸化炭素を消費することが確認されており、前述の活用方法が産業化されて化石燃料からの代替が進めば、地球規模の環境保護にも役立ちます。

つまり人間の経済活動による地球温暖化が問題視される中、持続可能な社会を可能とするエコロジーな産業が求められます。

大麻はその分野で非常に高い可能性を秘めているため、地方における新たな産業を模索している行政としても、注目しているのです。

合法の大麻の販売員「バットテンダー」について。

まとめ

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Illustration by Natasha Remarchuk from Icons8

大麻と聞くと「マリファナ」を連想し、多くの日本人は否定的な感情を抱くでしょう。

しかし、ハイになる成分「THC」が低い品種に改良された「産業用ヘンプ」が適切に管理された場合、農業、医療、嗜好といった、全く新しい産業に発展し、低迷する日本経済を再び活気付けることができます

行政が検討した結果をみても、リスクよりリワードの方が大きいことは明らかで、植物としての大麻草全般を取り締まる「大麻取締法」は、日本の国益を著しく損ねていると言えますね。

北海道だけではなく、国としても国民としても、「ダメゼッタイ」と思考停止をせず、意識を変えていかなければならないと強く感じます。

今回は以上になります。

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Written by 212

Cover: Illustration by Natasha Remarchuk from Icons8
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<参考サイト>
北海道庁
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/tokuyou/taima.htm
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/260319houkokusyo.pdf
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/kanouseihoukokusyo.pdf
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/taimahoukousei.pdf
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11126000-IyakushokuhinkyokuKanshishidoumayakutaisakuka/0000148711.pdf
HEMPニュース
https://coco-sinsere.com/?p=538
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